玩具店市場は過去最高7,620億円なのに総合量販の日本トイザらスが民事再生——需要が「子ども向け何でも揃う店」から「大人のガチャ・トレカ専門店」へ移った

79
総合スコア
インパクト
20
新規性
18
衝撃度
12
証拠強度
14
実現性
15

情報源:https://www.tdb.co.jp/report/industry/20261001-toy25y/
収集日:2026年10月12日
スコア:インパクト20 / 新規性18 / 衝撃度12 / 根拠14 / 実現性15 = 79点

変化の核心:「玩具市場が伸びれば総合型の玩具量販店も伸びる」という前提が崩れ、成長の中身が『大人(キダルト)が指名買いする専門業態』に移ったことで、総合店は市場拡大の中で退出する側になった。

概要

帝国データバンクによると、2025年度の玩具店市場は前年度比8.6%増の7,620億円で、2015年度以降で最高となった。増加額602億円の7割超をガチャ・トレカ専門店が占め、両業態のシェアは2015年度の9.9%から27.5%に拡大している。一方、日本トイザらス(2025年12月期売上約752億円、8期連続赤字)は2026年10月6日に民事再生手続きの開始決定を受けた。負債は約132億円で、おもちゃ量販店として過去最大の倒産である。

何が新しいか

市場規模は2020年度(4,254億円)比で約1.8倍に膨らんだが、その成長を担ったのは従来型の玩具店ではない。業態別の指数(2020年度=100)は従来型おもちゃ店の151に対し、ガチャ専門店が385、トレカ専門店が307と大きく開いた。顧客は子どもから「キダルト」と呼ばれる10〜30代女性などの大人層へ移り、人気キャラクターとのコラボや精巧なフィギュアを指名買いし、「引く体験」を楽しむコト消費が中心になっている。市場の拡大と総合店の倒産が同時に起きた点が、これまでの『市場が伸びれば各店が伸びる』という見方と異なる。

なぜまだ注目されていないか

「市場が過去最高」と「大手量販店の倒産」は別々のニュースとして報じられやすく、同じ構造の表と裏として読まれにくい。倒産は個社の経営問題(8期連続赤字)として処理されがちで、需要の担い手の入れ替わりという市場側の変化は見えにくい。また、ガチャ・トレカ専門店は店舗が小さく分散しているため、総合量販店のような大型店の動きに比べて、成長の大きさが目立ちにくいという見方もできる(以上は分析上の整理)。

実現性の根拠

数値は調査会社(帝国データバンク)の整理に基づく。日本トイザらスは2026年10月1日付でPPIHグループとの事業譲渡契約を締結済みで、再生計画案の提出期限は2027年1月13日とされている。ネット通販や家電量販店との競合、メーカー直販の拡大で売上が下降していたという経緯も報じられており、倒産の背景は複数の要因が重なったものと読める。調査の範囲は玩具店市場で、他業態への波及は現時点では推測にとどまる。

構造分析

構造としては、需要の中身が『子ども向けの何でも揃う品揃え』から『大人が指名買いするIP・体験』へ移り、店舗が存続する条件が品揃えから「行く理由」に変わった。キャラクター・IP消費が強い日本では、この傾向が特に強く出ると考えられる。ベビー用品や総合量販など、他の「何でも揃う」型の小売にも同じ圧力が波及しうる。事業譲渡の枠組みの下で売り場がどう再編されるかが、総合型小売の生き残り策を見る材料になる。

トレンド化シナリオ

今後1〜3年は、玩具市場の成長がガチャ・トレカ専門店など専門業態に集中し、総合量販型の店舗は業態転換や再編を迫られる展開が想定される。再生計画案の提出期限(2027年1月13日)とPPIHグループへの事業譲渡の進み方が、直近の観測点である。他方、ブームの変動や規制、IP供給の偏りにより専門業態の成長が鈍る可能性もあり、成長が続くかどうかは断定できない。

情報源

https://www.tdb.co.jp/report/industry/20261001-toy25y/

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