企業が払える最低時給の上限は平均1,275円、52.8%が1,200円台以下——最低賃金との差は78円まで縮小し、政府目標1,500円との隔たりが可視化

75
総合スコア
インパクト
22
新規性
17
未注目度
0
衝撃度
9
証拠強度
14
実現性
13

情報源:https://www.tdb.co.jp/report/economic/20261016-minimumwage/
収集日:2026-10-19
スコア:インパクト22 / 新規性17 / 衝撃度9 / 根拠14 / 実現性13 = 75点

変化の核心:最低賃金が市場の採用賃金に追いつかれる局面から、最低賃金が採用賃金の床に近づく局面へ移り、企業が負担できる上限と政府目標の隔たりが数字で表れた。

概要

帝国データバンクが1万235社に行った調査で、採用時の最低時給は平均1,255円(前年比+50円)となった。全国加重平均の最低賃金1,177円との差は78円で、2024年112円、2025年84円、今年78円と2年連続で縮小している。企業が支払える時給の上限は平均1,275円で、上限を1,200円台以下とする企業が52.8%、1,500円以上は14.4%にとどまる。引き上げペースを「速すぎる」とする企業は42.3%に上る。

何が新しいか

従来は、最低賃金より市場の採用賃金が上にあり、最低賃金の引き上げは一部の低賃金層に効く政策だった。今回の調査は、最低賃金と採用賃金の差が78円まで縮み、最低賃金が採用賃金の「床」に近づいていることを示す。さらに企業の支払い上限という新しい指標により、政府目標の1,500円との隔たりが数字で見えるようになった。

なぜまだ注目されていないか

最低賃金のニュースは毎年の改定額に注目が集まりやすく、企業側が払える上限という観点は表に出にくい。また本調査は企業側の回答であり、労働者側の見方とは立場が異なる点にも留意が必要だ。差の縮小は賃上げの成果とも負担の限界とも読めるため、論調が分かれやすい。

実現性の根拠

根拠は帝国データバンクによる1万235社の回答で、差の推移(112円→84円→78円)も3年分示されている。業種別では、小売58.9%、農林水産56.9%、運輸倉庫51.5%、製造50.4%が「速すぎる」と回答しており、5割超の業種が複数ある。地域差も大きく、東京1,410円と鳥取1,107円で303円の開きがある。

構造分析

最低賃金が床として効く範囲が広がると、企業は人件費の上昇を価格転嫁か生産性向上で吸収する必要が出る。上限を1,200円台以下とする企業が過半を占めるため、1,500円目標に近づくほど対応できない企業が増える構造だ。東京近隣県は東京水準に合わせる傾向があり、地域間の賃金競争も強まる。小売・建設は価格転嫁の難しさを訴えている。

トレンド化シナリオ

今後1〜3年は、最低賃金の引き上げが続けば、差がさらに縮んで逆転に近づく業種や地域が出てくる可能性がある(仮説)。その場合、価格転嫁が進む業種と進まない業種で収益の二極化が起きうる。政府目標の1,500円に向けた議論では、企業の支払い上限という数字が論点として使われる場面が増えるだろう。

情報源

https://www.tdb.co.jp/report/economic/20261016-minimumwage/

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