産業政策が「市場に委ねる」から「政府が主導する」へ——先進国で介入強化が新潮流に
情報源:https://www.dir.co.jp/report/research/economics/japan/20260727_030182.html
収集日:2026年8月2日
スコア:インパクト17 / 新規性16 / 注目度12 / 衝撃度15 / 根拠8 / 実現性8 = 76点
変化の核心:「政府は市場に介入すべきでない」という戦後先進国の前提が崩れ、産業政策で政府が資源配分を主導することが正統性を取り戻しつつある。
概要
大和総研が調査季報2026年夏季号で、先進各国の産業政策が「市場に委ねる」新自由主義的な発想から、政府が特定分野に踏み込んで資源配分を主導する方向へ転換していると分析した。米欧が経済安全保障や脱炭素を名目に補助金・国産化要件で介入を強める潮流を整理している。日本の高市政権が掲げる17分野・約370兆円(うちAI・半導体だけで101.6兆円)の官民投資ロードマップも、この国際的文脈に位置づけられている。
何が新しいか
戦後の先進国では「政府は市場に介入すべきでない」という新自由主義的な考え方が主流だった。それが崩れ、政府が特定産業に資源を差し向けることが再び正統性を得ている点が新しい。かつて「悪手」とされた産業政策が、経済安全保障と脱炭素を大義名分に堂々と復権している。
なぜまだ注目されていないか
個々の補助金や投資計画は報じられるが、「政府の役割そのものが問い直されている」という大きな地殻変動としては捉えられにくい。日々の政策ニュースの背後にあるパラダイム転換は、専門家以外には見えづらい。未注目度12が、この構造変化の認知の遅れを示している。
実現性の根拠
米国のインフレ抑制法(IRA)やEUの各種補助金、日本の巨額投資ロードマップなど、すでに具体的な政策として動き始めている。シンクタンクによる体系的な整理があり、傾向の裏づけは十分だ。ただし実現性・証拠強度が各8とやや低めなのは、投資の成否や政策効果がまだ見えない段階だからである。
構造分析
政府主導の産業政策は、補助金の分野指定という「政府による賭け」の性格を強める。投資対象の選定を誤れば、財政負担だけが残るリスクがある。海外の産業政策が安全保障を起点とするのに対し、日本は人口減・国内需要縮小への対応という動機が強く、位置づけが異なる。市場の資源配分機能と政府の裁量のバランスが、各国共通の論点になる。
トレンド化シナリオ
今後1〜3年、主要国は補助金競争と国産化要件の応酬を続け、産業政策が国際競争の主戦場になる。日本では370兆円ロードマップの進捗と成果が問われ、選定分野の当否が政治争点化する。財政規律との緊張が高まり、「賭け」が外れた場合の検証が課題になる。政府の役割をめぐる論争は、経済政策の基本思想を左右する長期テーマになる。
情報源
https://www.dir.co.jp/report/research/economics/japan/20260727_030182.html

