推し活が「私生活の趣味」から「人事制度の対象」へ——正社員の32.3%が推し活、企業の11.0%が支援制度を導入
情報源:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002488.000002955.html
収集日:2026-08-27
スコア:インパクト13 / 新規性11 / 注目度11 / 衝撃度12 / 根拠13 / 実現性13 = 73点
変化の核心:推し活が「就業時間外の個人的趣味」から「採用競争力と就業条件を左右する労務要件」へ。企業が管理する対象に、従業員の余暇の使い方そのものが入り込み始めた。
概要
マイナビが2026年8月25日、全国20〜50代の正社員2万名と中途採用担当者816名を対象とした「推し活と仕事に関する調査2026年」を発表した。現在推し活をしている正社員は全体で32.3%、20代女性で61.2%、20代男性で48.1%にのぼる。推し活実施者のうち「推し活のために仕事を頑張っていると思う」は全体で62.8%、20代では69.4%だった。費用は平均月額1.4万円で、若年層ほど高額の傾向がある。推し活実施者の2人に1人以上が「推し活がしやすい企業に魅力を感じる」と回答し、求める環境として休暇の取りやすさ、フレックスタイム制度、周囲の理解が挙がった。
何が新しいか
従来、企業が従業員の私生活に関与するのは育児や介護など、就労の継続が困難になる事情への配慮が中心だった。推し活は就労を妨げる事情ではなく、むしろ就労の動機として機能している点が異なる。実際に62.8%が推し活のために仕事を頑張っていると答えており、余暇が労働意欲の源泉として位置づけられている。そのうえで支援制度を導入している企業が11.0%あり、企業規模が大きいほど導入率が高い。
なぜまだ注目されていないか
推し活休暇のような制度は話題性の高い福利厚生として個別に報じられ、単発の話題として消費されやすい。人事政策の文脈では、依然として育児・介護・健康が主要テーマであり、余暇支援は優先度が低いと見なされる。また推し活という言葉が若年層の趣味を指す語として扱われるため、労働市場の分析対象になりにくい。実施率32.3%という規模が示す意味が、言葉の軽さに隠れている。
実現性の根拠
調査は正社員2万名という大規模な標本に基づいており、年代・性別ごとの傾向まで読み取れる精度がある。求められている環境が休暇の取りやすさやフレックスタイムであることから、新規の制度創設ではなく既存制度の運用改善で対応できる部分が大きい。既に11.0%の企業が何らかの支援制度を導入しており、実装例も存在する。採用競争が続く環境では、費用のかからない差別化手段として採用されやすい。
構造分析
余暇の過ごし方が求職時の企業選択基準に入るということは、賃金と職務内容に加えて「時間の使い方の自由度」が労働条件の一項目になったことを意味する。特に平日の日中に発生するライブや配信、チケット抽選への対応は、固定的な勤務時間と構造的に衝突する。企業が推し活を支援するとは、実質的に勤務時間の柔軟化を別の名前で進めることでもある。趣味の名を借りて、労働時間の設計そのものが交渉の対象になっている。
トレンド化シナリオ
短期的には、大企業を中心に推し活休暇や時間単位有給の拡充が採用広報の材料として広がっていくとみられる。中期的には、名称を問わず「理由を問わない休暇」へ収斂し、休暇取得の理由を申告させない方向に制度が整理される可能性がある。一方で、支援の有無が企業規模で差がつく現状が続けば、余暇の自由度が新たな労働条件格差として意識されるようになる。働く動機が職務の外側にあることを前提とした人事設計が、標準になっていく。
情報源
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002488.000002955.html

