退職代行、1年で主要事業者の2割超が撤退——急成長業態の淘汰が始まる
情報源:https://www.itmedia.co.jp/news/article/2609/25/2000001747/
収集日:2026年9月26日
スコア:インパクト14 / 新規性17 / 注目度13 / 衝撃度18 / 根拠8 / 実現性9 = 79点
変化の核心:「退職代行は右肩上がりで市場が拡大し続ける新興業態」という前提が崩れ、非弁行為リスクの顕在化と規制執行をきっかけに、急成長した労働市場の仲介インフラが摘発・淘汰・二極化のフェーズに入り始めた。
概要
帝国データバンクが2026年9月23日に発表した調査によると、2025年10月時点でサービスを提供していた退職代行の主要事業者52社のうち、2026年9月までに14社(26.9%)がウェブサイトの閉鎖などによりサービス継続を確認できない状態になっていた。退職代行「モームリ」の運営会社が非弁行為の疑いで摘発された影響で、業界全体への信頼が揺らいだとみられる。利用料金は平均2.8万円から2.7万円へと微減し、大手法律事務所の参入も加わって価格競争が激化している。サービス品質や法令順守体制の差によって、事業者間の二極化が進行しているという。
何が新しいか
これまで退職代行市場は「人手不足と労使関係の変化を背景に拡大を続ける新興業態」として語られてきたが、今回の調査は業界の2割超が1年で撤退したという初の定量的な淘汰データを示した。単なる個別事業者の廃業ではなく、業界全体の統計として撤退率が可視化された点が新しい。急成長期にありがちな「参入ラッシュ→淘汰」というサイクルが、退職代行という比較的新しい業態でも同様に発生していることが裏付けられた。
なぜまだ注目されていないか
退職代行に関する報道はこれまで、市場規模の拡大や利用者数の増加を強調するものが大半で、撤退・廃業は個別事例として単発的に報じられるにとどまっていた。「モームリ」摘発のような象徴的事件は話題になっても、それが業界構造そのものの転換点であるという分析にはつながりにくい。急成長業態は成長の物語が優先されがちで、縮小・淘汰の兆候は統計として提示されるまで見過ごされやすい。
実現性の根拠
信用調査の専門機関である帝国データバンクが実際の企業活動実態を調査した一次データに基づいており、14社の撤退という数字自体は既に確定した事実である。退職代行「スマートヤメマス」の破産のように、個別の倒産事例も裏付けとして存在する。
構造分析
労働移動の増加という構造要因自体は今後も続くとみられるが、それを媒介するビジネスの法的正当性とコンプライアンス体制が生き残りの条件になりつつある。弁護士法が定める非弁行為規制という専門職規制の枠組みが、新興サービス業の急拡大に上限を課す典型例であり、法務体制を持つ大手法律事務所系事業者への集約が進む構造が見えてくる。
トレンド化シナリオ
今後1〜3年で、非弁行為リスクを回避できる法律事務所併設型・提携型の事業者にシェアが集中し、個人運営や小規模事業者の淘汰がさらに進む可能性が高い。価格競争の一巡後は、返金保証や弁護士対応の有無といった信頼性の差別化軸が主戦場になり、業界団体によるガイドライン整備や自主規制の動きが強まることも予想される。
情報源
https://www.itmedia.co.jp/news/article/2609/25/2000001747/

