CO2回収の場が「工場の煙突」から「海」へ——日立・商船三井・JALが海洋から直接CO2を回収する国内初の実証に着手
情報源:https://www.projectdesign.jp/articles/news/ee2f3a08-f8df-414c-b1a1-b3ad52098add
収集日:2026-08-08
スコア:インパクト14 / 新規性16 / 注目度13 / 衝撃度16 / 根拠8 / 実現性8 = 75点
変化の核心:炭素除去の対象が「排出源の煙突(点源)」や大気に限られていた前提が広がり、海洋を巨大な炭素回収媒体として使う方式が国内で実証段階に入った。脱炭素の困難な海運・航空が回収側に回る。
概要
日立製作所・商船三井・日本航空(JAL)が、海洋から直接CO2を回収する技術(Direct Ocean Capture)の国内初の実証に取り組む。大気より高濃度で二酸化炭素を溶かし込む海水からCO2を分離回収する方式で、海運・航空という排出削減の難しい業種の企業が異業種連合で参画する点が特徴。回収したCO2は合成燃料などへの活用が見込まれる。
何が新しいか
炭素回収の主流は、工場や発電所の排ガスから回収する点源回収と、大気から直接回収するDAC(Direct Air Capture)だった。海水は大気の百数十倍の濃度でCO2を溶かし込んでおり、そこから回収するDirect Ocean Captureは、より高濃度の媒体を狙う新しいアプローチだ。海運・航空という「減らしにくい排出源」の企業が、削減ではなく回収の担い手として連合を組む点も新しい。
なぜまだ注目されていないか
炭素回収の話題はDACや点源回収に集中し、海洋を対象とする方式は知名度が低い。国内初の実証という初期段階のため成果がまだ数字で見えず、脱炭素の中でも地味な位置づけにとどまる。海運・航空の脱炭素というテーマ自体が一般の関心を集めにくいことも、可視性を下げている。
実現性の根拠
高濃度媒体を扱うため理論上はDACより効率で有利だが、海水処理の設備・エネルギーコストや回収CO2の用途確保が実現の鍵となり、実現性スコアは8にとどまる。日立の技術力、商船三井の海洋オペレーション、JALの合成燃料需要という補完的な布陣は、実証を前に進める現実的な体制だ。合成燃料(SAF等)の需要拡大が経済性を支える。
構造分析
この連合は、排出削減が難しい産業が「回収・除去」市場の担い手兼需要家として立ち回る新しい構図を示す。回収したCO2を合成燃料の原料に回せば、海運・航空は自らの排出を相殺する循環を内製できる。異業種連合による実証は、炭素除去(CDR)を単独技術ではなくサプライチェーンとして組み立てる動きの先駆けといえる。
トレンド化シナリオ
今後1〜3年で、実証データをもとに海洋回収の効率とコストが評価され、有望なら港湾や船舶と組み合わせた実装検討へ進む可能性がある。合成燃料やカーボンクレジット市場の成熟が、回収CO2の出口を広げるほど事業性は増す。DAC一辺倒だった炭素除去の選択肢に「海」という新たな軸が加わり、日本発の方式として国際的な注目を集める展開もあり得る。
情報源
https://www.projectdesign.jp/articles/news/ee2f3a08-f8df-414c-b1a1-b3ad52098add

