EUのエンジン車規制が『2035年100%削減』から『90%削減』へ緩む——仏独が『欧州製』部品70%の調達優遇と引き換えに合意
情報源:https://www.euronews.com/2026/10/16/france-and-germany-strike-car-industry-deal-linking-2035-engine-rules-to-made-in-europe-pu
収集日:2026年10月17日
スコア:インパクト26 / 新規性20 / 衝撃度12 / 根拠12 / 実現性9 = 79点
変化の核心:EUの自動車規制が『排出ゼロを一律に課す』方式から、『排出基準を緩める代わりに域内調達を条件づける』産業政策へ組み替わった。
概要
フランスとドイツは、EU首脳会議の場で、2035年の新車CO2削減を100%から90%に緩め、残り10%の相殺を不要とする案で合意した。引き換えに、公共調達で『欧州製』を優遇する提案(欧州委が3月に提案、フランスが推進)と結び付け、バッテリーを除く部品の70%、バッテリー内容の10%を欧州産とする水準が示された。ノルウェー・アイスランド・スイス・英国は、公平な調達アクセスの協定を結べば欧州製として扱われる。
何が新しいか
比較の基準は、欧州委が2025年12月以前に維持していた100%削減の規則である。従来は排出ゼロを一律に課す規制だったが、今回は規制を緩める代わりに域内調達の比率を条件に組み込む点が異なる。環境規制と産業政策を一つの取引にした形である。
なぜまだ注目されていないか
規制緩和の部分は注目されやすい一方、部品70%・電池10%という調達条件の側は、公共調達の細部として見落とされやすい。また合意は仏独二国の共同の立場にとどまり、法的効力がない。元記事はACEAなど業界団体の反応を載せておらず、現場の受け止めが見えにくいことも一因と考えられる。
実現性の根拠
現時点で法的効力はなく、他の加盟国と議会の審議が必要で、議会本会議の採決は11月23日とされる。立場も分かれており、ドイツは技術の柔軟性と域外の信頼できる国を含む広い枠組みを求め、フランスはEU27か国に限る厳格な優遇を求める。ドイツの社民党系環境相は95%削減(残り5%は低炭素鋼で相殺)を求めており、国内にも異論がある。そのため実現性は低めに評価している。
構造分析
自動車メーカーの電動化投資の時間軸が延び、ハイブリッドやエンジン技術への投資が正当化される。一方で部品の域内調達比率が競争条件になり、中国・アジア製の部品や電池のサプライヤー、欧州の部品メーカーの立地判断に波及する。EVへの一本化という前提が、欧州の産業政策の側から後退した。
トレンド化シナリオ
今後1〜3年の見立てとして、11月23日の議会採決を経て90%案が固まれば、各社は電動化とエンジン技術の併走を前提に投資計画を組み直す可能性がある。調達比率の水準や域外国の扱いが詰まるかどうかが、部品・電池の供給網の再編を左右する。合意が崩れた場合は、従来の100%削減が基準として残る。

