シニアがeスポーツで熱戦 大阪・関西万博「GeeSports大会 決勝」


— 高齢化課題にゲームで挑む、新しい社会実装のかたち —

少し前になりますが、2025年10月1日(国際高齢者デー)、大阪・関西万博のフェスティバル・ステーションで、65歳以上のみが出場するシニアeスポーツ「GeeSports大会 決勝」が開催されました。全国の介護施設・老人クラブなどから6チーム22名が出場し、最高齢は94歳。観客の大歓声の中、準決勝と決勝が行われました。競技タイトルは、簡単操作と協力プレイ設計を特徴とする「Gerogue(ジェローグ)」。3人でロボットを合体させ、相手拠点を破壊すれば勝利というルール。会場では、プロチームによるエキシビションマッチや主題歌ライブも併催され、多世代が同じ場で熱狂を共有しました。


メディアはどう伝え、どこに着目したか

ゲーム専門メディア

  • 4Gamer
    事実軸のレポート。開催地・日時・年齢レンジ(最年少65歳〜最高齢94歳)、6チーム編成、決勝実施などの「数字・構成」を明確に伝える構成。ゲーム専門メディアらしく、イベントの実施事実と専用タイトルの概要を淡々と紹介するスタイルで、センセーショナルにせず「史実としての記録」を重んじています。
  • 電ファミニコゲーマー
    「最高齢94歳」「全員90代のチームも」という象徴的な事実を前面に出し、プロジェクト趣旨(シニアが再び夢中になれる世界、世代横断の楽しさ)を丁寧に説明。大会の社会的意図(孤立・不安の緩和、つながりによる熱狂の創出)を、主催のメッセージとともに読みやすく編集しています。結果として、単なるイベント紹介にとどまらず、「高齢化社会におけるeスポーツの意義」を咀嚼して伝える記事となっています。
  • eSports World(大会情報)
    大会の基本情報を網羅的に提供し、会場・日程・出場団体(老人クラブ連合会、介護事業者、社協等)・エキシビション登場チームといった「来場者が必要とする実務情報」に特化し、イベント・観戦ガイドとして機能しました。
  • Esports News Japan
    速報調のニュースで「最高齢94歳」「90代編成チーム」など話題性を強調。専用ゲームの操作設計(少ないボタン、同時押しによる必殺技など)に触れつつ、今後の展開への期待も示す。ゲーム設計が「世代を超える入りやすさ」を担保している点を読み解く構成となっていました。

放送・動画

  • テレビ大阪(ニュース動画)
    国際高齢者デーの文脈と重ね、「脳の活性化実感」といった健康面への効果にフォーカス。現場映像を用い、平均年齢や最高齢などの数字を提示しつつ、シニア本人の手応えや観客の反応を伝え、公共性・社会性のある話題として紹介しました。

経済・地域媒体(確認できる公開情報)

  • 日経関西(公式Xの告知投稿)
    「大阪万博で高齢者eスポーツ大会、最高齢は94歳」という見出しの切り口。地域経済イベントとしての注目点を端的に示し、年齢レンジの象徴性を数字で伝える。詳細記事は会員制のため本文確認は難しいが、見出しの設計から「地域×万博×新規性(高齢者×eスポーツ)」というニュース価値の置き方がうかがえます。

海外英語圏(イベント紹介)

  • SimulationDaily
    開催前の段階から英語で紹介。大阪・関西万博という国際ステージにおける「シニア特化のeスポーツ」という点を、イベント文脈のユニークケースとして取り上げる。分析は控えめだが、国際読者に「新しい試み」の存在を知らせる役割を果たしています。

関係組織・チームの発信

  • DetonatioN FocusMe(チーム公式)
    エキシビション出場告知を通じ、プロシーンとシニアeスポーツの接続を可視化し、若年層ファンが多いプロチームの導線から、シニア領域の新しい動きを伝え、混齢コミュニティ形成への寄与を狙っています。
  • 亀岡市ほか出場団体の告知
    競技体験(ラジコン感覚・3人同時操作・合体のタイミング)の具体描写や、地域の社会参加・福祉文脈での位置づけを発信。地域主体の社会実装としての拡張可能性を示しています。

開催の事実・趣旨・仕様

  • 主催・枠組み
    デジタルハーツホールディングスが資本参加する「GeeSports万博実行委員会LLP」が実施。英語版の開催予告(4月)と、日本語の正式プレスで大会の趣旨・構成・使用タイトルを明示。
  • 開催結果(開催後レポート)
    10月2日付で、参加者実数(6チーム22名、最高齢94歳、90代チーム)、観客の反応、エキシビション等を公表。
  • 公式カレンダー・関連告知
    万博のイベントカレンダー、プロチーム・出場団体の公式告知が相互に裏付け。

最後に

これは「eスポーツ=若者の遊び」という固定観念を覆すものです。スポーツの世界では、年齢別のカテゴリーが設けられていましたが、eスポーツの名のとおり、ゲームにもその波が押し寄せています。
操作設計を工夫し、協力・声かけを促すゲームにすることで、参加のハードルを下げ、世代横断の熱狂を生み出せることが示されました。ここから広がる市場は、ゲーム産業に限らない。高齢者施設・地域コミュニティのレクリエーション、ヘルスケアや認知機能トレーニング、観光・イベント、教育、スポンサーシップ、アクセシビリティ機器・UX設計など、多面的に拡張します。日本の超高齢社会において、ゲームは「参加」「誇り」「つながり」を再設計する力を持ち得ます。万博という国際舞台で可視化されたこの試みは、国内外での横展開に現実味を与えました。今後は、定期開催・地域分散・効果測定(健康・社会参加指標)を組み合わせることで、社会実装としての持続性とエビデンスを積み上げていく段階に入っていくことになるのでしょう。


参照元・エビデンス(URL)

一次情報・主催

大会情報・関係告知

報道(国内)

海外・イベント紹介

補足(万博カレンダー・周辺)

(注)一部の媒体は見出し・要旨での確認(詳細本文が会員制・配信限定)を含みます。本文に引用した事実は、一次情報と公開記事・公式告知で相互に裏取りできる内容に限定しています。

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