16万円の「番犬ロボ」Rover X1が示す転換点

16万円の“番犬ロボ”が示すロボット家庭化の転換点

― aiboとの違いから見える、ロボットの次の時代 ―
 画像はDOBOTホームページより抜粋
(https://www.aparobot.com/robots/rover-x1?utm_source=chatgpt.com)

はじめに

「ロボットが家にいる未来」は、これまで多くの人が夢として語ってきました。
その象徴が、ソニーのaiboです。愛らしい仕草で家族の一員となるaiboは、感情的なつながりを生む存在として知られています。

ところが2025年11月、中国のロボットメーカーDOBOT(越疆科技)が発表した「Rover X1」は、同じ犬型ロボットでありながら、まったく異なる方向からその未来を切り拓こうとしています。
価格は約16万円。家庭用の掃除機やゲーム機に近い価格帯です。
しかし、その中身は「番犬」「撮影サポート」「荷物運搬」「教育プラットフォーム」という、実用性を備えた家庭用ロボットです。

この記事では、Rover X1の事実情報と、aiboとの構造的な違い、そして世界の報道機関がどう評価しているのかを整理します。


事実:Rover X1の概要

DOBOT(越疆科技)は中国・深センに本社を置く産業用ロボットメーカーで、教育・製造分野でも知られています。
2025年11月初旬、同社は「Rover X1」という家庭向け四足ロボットを発表しました。

主な特徴は次の通りです。

  • 価格:7,499人民元(約16万円)
  • 構造:脚+ホイールのハイブリッド足回り
  • 機能:番犬モード(自律巡回とカメラ監視)、荷物運搬、Vlog撮影追従、音声指示、顔認識
  • 応用領域:見守り、防犯、撮影、STEM教育など
  • 拡張性:プログラミングによる機能追加やサードパーティ連携を想定

GizmochinaやNotebookcheckなど複数の海外メディアは、Rover X1を「家庭向けスマートアシスタント」「マルチパーパス(多目的)ロボット」と紹介しました。
Gizmodo Japanは「ロボット掃除機並みの価格で買える番犬ロボ」と評し、一般家庭が初めて現実的に導入できる価格帯の“働くロボット”として紹介しています。


aiboとの違い(深く丁寧に)

同じ犬型ロボットでも、Rover X1とaiboはまったく別の哲学でつくられています。

1. 目的の違い

  • aibo:感情的な交流を目的とした「エンタテインメントロボット」
  • Rover X1:防犯・運搬・教育など「実用性を重視した家庭用マルチロボット」

aiboは、家族の一員として愛される存在を目指しています。クラウド学習により性格が成長し、しぐさを通じてかわいさや愛着を提供します。
一方のRover X1は、動く監視カメラであり、荷物を運び、外でも走ることができる“家庭用モビリティ”です。目的は感情ではなく機能。ここが最も根本的な違いです!

2. 価格と維持コストの違い

  • aibo:本体約27万円+クラウド契約(3年間で約10万円)
  • Rover X1:約16万円(クラウド契約は現時点で不要)

aiboはソニーのクラウドプラットフォームと連携するため、サブスクリプションが必須です。
Rover X1はスタンドアロンで動作し、ユーザーが自分でプログラムを追加することもできます。
つまり、Rover X1は「買ってすぐ使えるロボット」であり、aiboは「長く育てるロボット」です。

3. 技術構造の違い

  • aibo:22軸のアクチュエータで生き物らしい動きを再現(屋内専用)
  • Rover X1:ホイールと脚の両方を備え、屋内外を移動可能

aiboが「犬らしさ」を追求したのに対し、Rover X1は「多様な地形を移動し、タスクをこなす」ことを前提としています。
その結果、Rover X1は家庭内の見守りや屋外での巡回など、より現実的な作業を担うことが可能になりました。

4. 開発思想の違い

  • aibo:閉じた世界観(ソニーの独自環境で成長)
  • Rover X1:開かれたプラットフォーム(ユーザーが拡張可能)

Rover X1には教育・研究向けAPIが提供される予定で、プログラミング教育にも使える設計です。
これにより、ユーザーが独自機能を開発し、生活や学習の中に取り込める柔軟性を持ちます。


メディアの評価・報道内容

主要なメディアの報道は、次のような視点で共通しています。

Gizmodo Japan

「16万円ならありかも」「番犬ロボットとしては破格」と紹介。
デュアルカメラやホイール付き脚構造などを評価し、「家庭用AIロボットが現実的な価格に下りてきた」と報じました。

Notebookcheck(ドイツ)

「約1000ドルで、産業用ロボ犬の一部機能を家庭に持ち込んだ」と分析。
コストパフォーマンスの高さを評価する一方で、耐久性や実利用性の検証は今後の課題としています。

Gizmochina(中国)

「家庭用ロボットの量産時代を象徴する存在」とし、
中国の政策(第14次五カ年計画)で掲げる「サービスロボット産業の拡大」に合致すると報じました。
同時に、STEM教育や研究用途への広がりにも期待を示しています。

これらの報道を総合すると、Rover X1は「愛玩」から「実用」への明確な転換点と見なされています。


まとめ

Rover X1は、見た目こそ犬型ロボットですが、その本質はまったく異なります。
aiboが「感情を学ぶパートナー」であるのに対し、Rover X1は「生活を支えるロボットワーカー」です。

この違いは、ロボットという言葉の意味そのものを変えるかもしれません。
人に寄り添う存在から、人と共に働く存在へ。
感情を模倣するAIから、現実を支えるAIへ。

16万円という価格は、その変化を象徴しています。
テクノロジーが遊びではなく生活の中に溶け込む時代!
Rover X1の登場は、その第一歩を示す出来事といえるのではないでしょうか!


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