世界で進む Z世代ライフスタイル 10のトレンド

消費は所有から運用へ 社会は公開から小さな場へ
Z世代のライフスタイル変化は、派手な流行というより、日々の選択の前提条件が書き換わっていくタイプの変化です。
仕事観、健康観、情報摂取、買い方、遊び方まで、共通する芯は「自分の状態をコントロールできる設計」と「小さく安全な居場所」です。Deloitteのグローバル調査でも、Z世代はお金だけでなく意味とウェルビーイングの両立を強く求める傾向が示されています。 Deloitte+1
以下、世界の根拠に基づく10の潮目を整理します。
1 お酒はゼロか100かではなく コントロールする文化へ
Z世代の飲酒文化は、飲むか飲まないかの二択から、飲み方を設計する方向へ動いています。象徴的なのが zebra striping で、同じ場でアルコールとノンアルを交互に挟むことで摂取量を抑えるという発想です。ユーロモニターはこの行動を「アルコールとノンアルを交互に飲む」トレンドとして定義し、若年層で特に目立つと述べています。 Euromonitor
学術界隈でも「概念自体は以前からのハームリダクションに近いが、言語化されて広がっている」と整理されています。 UNSW Sites
さらに直近の報道では、Z世代が二日酔い回避や自己管理の観点から zebra striping を取り入れていること、企業側もノンアルや機能性ドリンクを強化していることが示されています。 Business Insider
重要なのは、禁酒の道徳ではなく、翌日のパフォーマンスや心身の状態を守るための生活設計として広がっている点です。これはアルコール市場だけでなく、外食、ナイトタイム経済、旅行体験にも波及しやすい変化です。
2 SNSはオープンな自己表現から 安心な居場所とキュレーションへ
Z世代のSNS行動は、公開投稿の場から、より親しい人間関係の小さな場へ寄っています。背景にあるのは、公開空間での評価や炎上リスク、アルゴリズム疲れです。Pew Research Centerの調査は、米国ティーンにおける主要プラットフォームの利用状況を示し、動画系を含むSNSが生活インフラであり続ける現実を裏付けています。 Pew Research Center
一方で、Z世代の価値が「広く見られる」ことから「安全に共有できる」ことへ移っていることは、GWIの統計でも、友人や家族とのメッセージ利用増として語られています。 GWI
また、コミュニティが小さなグループへ向かう流れは、コミュニティ運営系レポートでも、AIアルゴリズムや大きなフィードから離れ、より親密な場を求める傾向として整理されています。 HubSpot
この変化は、発信の主戦場がプロフィールではなく、DMやグループチャット、クローズドなコミュニティへ移ることを意味します。ブランドやメディアにとっては拡散より信頼の設計、バズより継続接点が重要になり、施策の評価軸が変わっていきます。
3 ウェルネスはイベントではなく 毎日のパーソナライズ運用へ
Z世代のウェルネスは、たまの贅沢や一時的なリセットではなく、日々の生活を運用して状態を整えるものへ移っています。McKinseyの調査では、ミレニアルやZ世代にとってウェルネスは「時々の活動や購買ではなく、毎日の個別化された実践」になっていると明確に述べられています。 McKinsey & Company+1
この流れでは、筋トレやダイエットのような単発の取り組みよりも、睡眠、ストレス、栄養、集中、肌、心身の回復といった複数要素のバランスが重視されます。つまり健康は目標ではなく、生活の設計項目になります。
さらに、最近の動向としては「ウェルネスがソーシャル化する」という形で、ランニングクラブやグループ活動がZ世代のウェルネスとして広がっているという報道もあります。 The Economic Times
ここでのポイントは、自己改善のストイックさではなく、楽しい形で続く設計です。継続できるコミュニティ、記録、ルーティン、無理のない頻度が価値になります。結果として、商品よりも体験、単発よりも習慣化を支えるサービスが伸びやすい構造になっています。
4 中古・リユースが節約ではなく デフォルトの買い方へ
Z世代にとって中古は「お金がないから」ではなく、最初から選択肢に入っている買い方になりつつあります。ThredUpのResale Report 2025は、米国のセカンドハンドアパレル市場が2024年に14%成長し、アパレル小売全体より5倍速かったと報告しています。 ThredUp Newsroom+1
さらに同レポートは、グローバルのセカンドハンドアパレル市場が2029年に3670億ドル規模に達する見込みだと示しています。 ThredUp+1
この変化の本質は、リユースが一部のマニアや節約層の行動ではなく、通常の買い物のプロセスに組み込まれ始めたことです。小売側もリセール導入や下取り導線の整備、AIによる査定の効率化などに投資し始めています。 ThredUp+1
高価格帯でも同様で、ラグジュアリーのリセール拡大が報じられています。 Business Insider
結果として、Z世代は購入時点からリセール価値を意識し、所有ではなく回転として消費を設計するようになります。ファッションだけでなく、ガジェット、趣味、住まいのモノ選びにも波及し得る構造変化です。
5 仕事は出世より 学び直しと境界線づくりへ
Z世代の仕事観は、単純な出世競争から、生活の質を守りながら成長できる環境選びへ寄っています。Deloitteの2025年調査は、Z世代とミレニアルが「お金、意味、ウェルビーイング」の三点を同時に満たしたいという構図を明確にし、必ずしも上位職を目指すことが最大の動機ではないと述べています。 Deloitte+1
その結果、ライフスタイルとしては、働き方の境界線を引くこと、学習機会を確保すること、メンタルと身体を守ることが同列に扱われます。Deloitteの別ページでも、メンタリングや意味、経済的な安心が重視されるとまとめられています。 Deloitte
これは、転職の増加や副業の増加という現象よりも、仕事を人生設計の一部として運用する姿勢の広がりです。
企業側から見ると、給与だけではなく、学習支援、柔軟性、心理的安全、働きやすい設計が採用競争力になります。Z世代にとって仕事は「人生を犠牲にして稼ぐ場」ではなく「人生の状態を崩さずに伸びる場」へと変わっていきます。
6 旅行は消費から 意味と学びとルーツ探索へ
Z世代の旅行は、映える場所の消費から、意味や自己理解を深める体験へ寄っています。Condé Nast Travelerは2026年の旅行トレンドとして ancestry travel と dry tourism を挙げ、旅行の目的がより個人の文脈や価値観に結びついていることを示しています。 Condé Nast Traveler+1
同様に、スロートラベルや没入体験の強調は、旅行メディア全体で目立つ論点です。 National Geographic
ここで重要なのは、旅行が贅沢消費ではなく、学びや回復、人生の編集に近づいている点です。祖先や家族史を辿る旅は、単に観光するのではなく、自己物語の再構築になります。ノンアル志向の旅は、旅先での飲酒が当たり前という前提を外し、健康や生活の整えを旅に持ち込む動きです。 Condé Nast Traveler+1
つまり旅行は、旅先で散財して終わるイベントから、生活の延長として価値観を反映する体験へ進んでいます。これは宿泊、ツアー、交通、地域体験の設計を根本から変える可能性があります。
7 デジタルデトックスというより アナログ回帰を趣味にする
Z世代のアナログ回帰は、スマホを断つ禁欲ではなく、触覚のある体験を趣味として取り戻す形で広がっています。Pinterest Predictsは2026年トレンドとして、手紙文化の復活を挙げ、Z世代とミレニアルがスネイルメールを表現文化として楽しむ流れを示しています。 Pinterest+1
またPinterest Predictsの2025版でも、生活者の検索データから次年トレンドをまとめる枠組みが提示されています。 Pinterest
アナログ回帰は、日記、手書き、文房具、読書会、クラフトなど、静かな活動と相性が良い。これは、情報過多とAI生成コンテンツが増える環境に対して、手触りのある時間や、自分だけの世界を作る時間への需要が生まれているとも読めます。Pinterestが指摘する自然回帰の美意識の話も、この文脈と接続します。 Creative Bloq
結果として、文具、紙、アナログ趣味のコミュニティ、ワークショップ、静かなイベントが新しい体験市場になります。デジタルから逃げるのではなく、生活の中にアナログ比率を取り戻す設計が、Z世代にとっての新しいセルフケアになりつつあります。
8 体験は所有より 自分の状態を良くするものへ
Z世代の消費は、所有の誇示から、状態が良くなる体験へシフトしています。McKinseyはウェルネス市場を6つのサブカテゴリで整理し、生活者が商品だけでなくサービスや体験に支出を増やしていることを示しています。 McKinsey & Company+1
このトレンドは、見た目の改善だけでなく、睡眠、集中、ストレス、気分の安定など、内側の状態に焦点が移る点が特徴です。 McKinsey & Company
旅行の意味化やノンアル志向も、この状態改善の延長線上にあります。旅先での飲酒を主役にしない、身体に負担をかけない、回復を優先するという設計がトレンドとして言語化されています。 Condé Nast Traveler+1
さらに、ウェルネスがコミュニティ化するという動きは、体験が社会的つながりとセットになっていることを示します。 The Economic Times
この結果、Z世代に刺さる体験は、派手な高額体験ではなく、日常に差し込めて、心身の状態が上向くものになります。ブランドやサービスは、体験を一度売るのではなく、継続的に状態を支える導線を設計できるかが勝負になります。
9 ニュースは読むより 流れてくる前提が強まる
Z世代の情報摂取は、ニュースサイトを能動的に読むより、SNSや動画プラットフォーム上で流れてくる形が強まっています。Reuters InstituteのDigital News Report 2024は、TikTok、Instagram、YouTubeなどの動画主導プラットフォームがニュース消費において重要性を増していると報告しています。 ロイター研究所+1
またReuters Instituteは、若年層のオンライン生活にTikTokやYouTube、Instagramが定着していることを前提に、プラットフォーム起点の新しいニュースアウトレットが若年層を引きつけていると整理しています。 ロイター研究所
この変化は、情報の形式が文章中心から、短尺動画、要点、語り手の信頼へ移ることを意味します。つまり、何が起きたかより、誰がどう解釈したかが先に届く構造が強まります。
Pewの調査が示すように、若年層の主要プラットフォーム利用は高水準で、ニュースもその生活圏で摂取されることが自然になります。 Pew Research Center
メディアにとっては、見出しと記事より、短い説明、文脈、コミュニティ内での共有され方の方が影響力を持ちます。ニュースは読むものではなく、生活の動線に混ざるものへ変わっています。
10 将来不安が 節約ではなく人生設計の早期化を促す
Z世代は不安を感じやすいから消費しない、という単純な話ではなく、人生設計を前倒しして生活を安定させる方向へ向かっています。Deloitteの2025年調査は、経済的な不安と、意味やウェルビーイングの両立を求める姿勢が共存していることを示しています。 Deloitte+1
つまり不安は、支出ゼロではなく、何に投資し何を避けるかの再配分を生みます。
この結果、スキルの可搬性を高める学び、健康の運用、コミュニティ確保、副収入、住む場所の見直しといった「生活の設計項目」が早い段階から議題になります。仕事観の変化とも直結し、出世よりも学びと境界線を重視する姿勢を後押しします。 Deloitte
また、リユースがデフォルト化するのも、節約だけでなく、価格上昇環境の中で合理的に欲しいものを手に入れる行動として自然です。 ThredUp Newsroom+1
最終的にZ世代のライフスタイルは、未来の不確実性に対して、状態と選択肢を守るための運用へ向かっています。消費もキャリアも健康も、人生を守る設計問題になっています。
参照元 URL一覧
https://www.deloitte.com/global/en/issues/work/genz-millennial-survey.html
https://www.deloitte.com/us/en/insights/topics/talent/2025-gen-z-millennial-survey.html
https://www.mckinsey.com/industries/consumer-packaged-goods/our-insights/future-of-wellness-trends
https://www.mckinsey.com/industries/consumer-packaged-goods/our-insights/the-trends-defining-the-1-point-8-trillion-dollar-global-wellness-market-in-2024
https://www.mckinsey.com/featured-insights/mckinsey-explainers/what-is-the-future-of-wellness
https://reutersinstitute.politics.ox.ac.uk/digital-news-report/2024
https://reutersinstitute.politics.ox.ac.uk/news/how-these-new-platform-driven-news-outlets-are-attracting-young-audiences
https://www.pewresearch.org/internet/2024/12/12/teens-social-media-and-technology-2024/
https://www.thredup.com/resale
https://newsroom.thredup.com/news/thredup-13th-resale-report
https://cf-assets-tup.thredup.com/resale_report/2025/ThredUp_Resale_Report_2025.pdf
https://www.euromonitor.com/newsroom/press-releases/october-2025/zebra-striping-trend-reshapes-drinking-habits-as-alcohol-market-flatlines-at-0.6-growth
https://www.unsw.edu.au/newsroom/news/2025/02/with-damp-drinking-and-zebra-striping-gen-z-are-embracing-moderation
https://www.businessinsider.com/gen-z-redefining-drinking-culture-zebra-striping-skip-hangovers-2026-1
https://www.cntraveler.com/story/the-biggest-travel-trends-of-2026
https://www.cntraveller.com/article/the-biggest-travel-trends-of-2026
https://www.nationalgeographic.com/travel/article/how-travel-will-look-in-2026-biggest-travel-trends
https://skift.com/2025/12/09/teetotalling-travelers-are-just-saying-no-to-booze/
https://www.travelweekly.com/Travel-News/Tour-Operators/Growing-thirst-for-sober-travel
https://business.pinterest.com/pinterest-predicts/
https://newsroom.pinterest.com/ja/news/pinterest-predicts-20-bold-trends-for-2025/
https://www.creativebloq.com/art/digital-art/what-is-2026s-wilderkind-trend-and-how-can-artists-paint-it
https://www.gwi.com/blog/social-media-statistics
https://9306053.fs1.hubspotusercontent-na1.net/hubfs/9306053/The%202025%20Community%20Trends%20Report%2C%20by%20Circle.pdf


