SNSと生成AIがEC参入を塗り替える ー世界で起きている販売チャネルの再編

はじめに
EC参入の難しさは、商品そのものよりも、集客と制作と運用にあった。広告費がかかる、撮影が大変、更新が続かない、問い合わせ対応が回らない。
ところが今、SNSや生成AIがそのボトルネックを一気に解決し、売り方そのものを再定義し始めている。
重要なのは、SNSが宣伝媒体から販売インフラへ変わりつつあること。
そして生成AIが、制作と運用のコストを下げ、誰でも参入できる臨界点を引き下げていることだ。
以下では、世界で主流になりつつあるEC参入の型をパターン化し、どんなサービスが使われているかを整理する。
パターン1:SNS内でそのまま売る
特徴は、視聴と購買が同じ場所で完了すること。外部サイトへ遷移させないため、衝動買いが起きやすい。動画とライブ配信が中心になり、商品の魅せ方が売上を左右する。
代表サービス
TikTok Shop
ショート動画やライブ配信と購入導線が統合され、商品のタグ付けから購入までを一気通貫で進められる設計
Instagramのショップ機能と商品タグ
カタログ連携や商品タグで閲覧から購入へつなぐ導線を組める。地域や提供条件によりアプリ内完結よりも自社サイト決済へ寄る運用も一般化している
この型が広がる背景
広告よりもコンテンツの拡散力が効く
ライブ配信での熱量が購買に直結する
外部ECへ飛ばさない設計がコンバージョンを押し上げる
パターン2:SNSからECサイトへ
最も普及している現実解がこの型。SNS上で発見され、カタログやリンクで自社ECへ流し、決済と顧客管理は自社側に寄せる。
プラットフォーム規約や提供国の差に左右されにくく、長期運用に強い。
代表サービス
Shopifyのマルチチャネル連携
FacebookやInstagramなどへの商品カタログ同期、GoogleやYouTubeとの販売連携など、複数チャネル運用を前提に組める
Pinterestのショッピングとカタログ連携
探しに来る人が強いという特性があり、ライフスタイル商材と相性が良い。カタログ投入によって発見と購買導線を作る
この型が広がる背景
SNS側の仕様変更リスクを分散できる
顧客データと購入体験を自社で握れる
広告だけでなくオーガニック流入も取り込める
パターン3:チャットで売る(アフリカ・インド・東南アジアで強い)
検索して買うのではなく、相談して買う。チャットで商品の提案、在庫確認、支払い案内、予約、アフターフォローまで進める。
とくに新興国ではこの型が強く、先進国でも高単価商材や予約型サービスで効き始めている。
代表サービス
WhatsApp Business
商品カタログを作り、チャット内で商品を提示しながら会話で注文へ誘導する設計ができる
WhatsApp Business Platform API
自動応答、注文フロー、CRM連携などを大規模に行う場合はAPI連携が中心になり、プロバイダ経由の構築も一般的
この型が広がる背景
ECのUIより会話の方が意思決定が速い
問い合わせと購入が同じ導線に統合される
人手不足の接客を半自動化できる
パターン4:動画と配信で売るクリエイター主導コマース
インフルエンサーやクリエイターが商品の理解と信頼を作り、その場で購入へつなぐ。レビュー、ハウツー、比較が購買の主役になる。
代表サービス
YouTube Shopping
動画内で商品を提示し、購入導線やアフィリエイトを組み合わせて販売につなげる枠組みが整備されている
TikTokの動画とライブによる販売導線
ネイティブコマースとしても、外部EC導線としても機能し、コンテンツ主導で売れる構造が強い
この型が広がる背景
説明が必要な商品ほど動画が強い
広告より信頼が効く
ライブの同時性が購買の背中を押す
パターン5:生成AIによる運用の自動化・効率化
生成AIは新しい販売チャネルそのものではなく、販売の前後工程を高速化している。結果として、SNSコマースの回転数が上がり、少人数でも運用が成立するようになる。
主な使われ方
商品画像の生成と編集
撮影の外注やスタジオコストを抑えつつ、複数のクリエイティブパターンを量産する
商品説明文、広告文、投稿文の量産
投稿頻度が重要なSNS運用で、制作コストを劇的に下げる
チャット接客の半自動化
問い合わせ対応、提案、購入手続き案内などをテンプレートと自動フローで補助し、会話コマースをスケールさせる
この型が広がる背景
制作コストが下がると、参入者が増える
参入者が増えると、SNS内競争が激化し、さらに運用の自動化が必要になる
結果として、AIは参入ツールから競争必須ツールへ変わる
世界的なトレンドを一言でまとめると
EC参入は、サイトを作って広告で集客する時代から、発見と購買がSNSに統合され、会話と動画で売り、生成AIで制作と運用を回す時代へ移っている。
販売チャネルは増えているのではない。売り方のOSが置き換わっている。
参照情報
TikTok Shopping and Showcase
https://ads.tiktok.com/help/article/tiktok-shopping-and-showcase
Meta Shopsのチェックアウト方針
https://www.facebook.com/business/help/1314349509894768
Shopifyのソーシャルコマース関連
https://www.shopify.com/uk/enterprise/blog/social-commerce-trends
Shopify Google and YouTube連携アプリ
https://apps.shopify.com/google
Pinterest ショッピング広告の設定
https://business.pinterest.com/blog/how-to-set-up-shopping-ads-on-pinterest/
Pinterest 中小事業者向けの取り組み例
https://create.pinterest.com/blog/pinterest-inclusion-fund-merchants-creators-2025
YouTube Shopping アフィリエイト関連ヘルプ
https://support.google.com/merchants/answer/14816324
WhatsApp Business カタログ機能
https://faq.whatsapp.com/405903568419894
WhatsApp Business ポリシー
https://business.whatsapp.com/policy
WhatsApp Business Platform 料金 ドキュメント
https://developers.facebook.com/documentation/business-messaging/whatsapp/pricing
WhatsAppでのEC構築の例 プロバイダ解説
https://m.aisensy.com/blog/build-whatsapp-ecommerce-store/


